胃・十二指腸潰瘍

  • 胃・十二指腸潰瘍の症状

    胃・十二指腸潰瘍の症状・空腹時や食後30分~1時間くらい経った時に、みぞおち(心痛部、上腹部)部分に刺すような痛み、焼けるような痛み、圧迫感等を感じる。自覚症状の中で一番多い。

    ・食欲不振、吐き気、嘔吐等。また胸やけ、げっぷなどの酸症状。酸症状は胃に異常が起こっているサインでもあります。

    ・傷が浅いびらんから進行し、傷が深くなると潰瘍になります。胃粘膜にある深い血管まで進行すると、吐血(口から濃い褐色の血を吐く)や下血(便に黒っぽい血が混じる、便がコールタールのように黒くなる)などの目に見える出血が起こります。

    ※全ての胃・十二指腸潰瘍に痛みや出血などの症状がみられるわけではなく、中には全く症状が出ない事があります。出血症状がみられた場合は症状がかなり進行しているので、早急に受診して下さい。
  • 胃・十二指腸潰瘍の原因

    ピロリ菌によるもの<ピロリ菌によるもの>
    胃潰瘍の7割、十二指腸潰瘍の9割はピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)が原因で、日本では約6千万人がピロリ菌に感染していると言われています。ピロリ菌は胃の中に住んでいるらせん状の細菌です。

    ピロリ菌はウレアーゼという酵素を出し、胃酸を中和することで酸性度の高い胃液の中でも生存する事ができます。ピロリ菌が出す毒素によって組織が傷つくだけでなく、ピロリ菌を排除しようという白血球やリンパ球が集まり、細胞障害を起こすともいわれています。
  • 日常生活・薬によるもの<日常生活・薬によるもの>
    口から入った食べ物は食道を通り、胃に運ばれ、胃では食べ物を消化するために攻撃因子である胃液を分泌します。食べ物を溶かすほどの強い酸の胃液から胃を保護しているのが、胃粘液や血涙、プロスタグランジンなどの防御因子です。健康な状態ではこの攻守のバランスがとれているため、粘膜が傷つくことはありません。

    肉体的・精神的なストレスを感じたり、鎮痛剤などの薬による副作用、多量の香辛料・アルコール・コーヒー等の刺激物を摂取した時などに胃液が多量に分泌されたり、粘液や粘膜が弱まったりするので、胃や腸が傷つき、潰瘍ができやすくなります。ピロリ菌による胃・十二指腸潰瘍との区別は白血球の集まり方で判断できます。
  • 胃・十二指腸潰瘍の検査

    X線造影検査<X線造影検査>
    バリウムを飲み、テレビモニターで観察しながらレントゲンを撮る検査です。胃壁にバリウムが付着し、潰瘍の有無を確認できます。胃の中の隅々までバリウムを付着させる必要があるので、機械や患者様のお体を動かしながら撮影を行います。
    <内視鏡検査>
    X線検査で潰瘍の有無を調べ、内視鏡検査で潰瘍の状態を詳しく確認します。腫瘍があった場合は良性か悪性かを調べるために組織を採取します。検査時間も5~10分程度です。
    内視鏡検査の詳細はこちら
  • <その他の検査>
    血液検査、尿検査、尿素呼気試験等。
  • 胃・十二指腸潰瘍の治療

    ピロリ菌の除菌<ピロリ菌の除菌>
    ピロリ菌の除菌は、胃酸の分泌を抑制するお薬と2種類の抗生物質を7日間飲み続けます。ピロリ菌がいなくなることで、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍の発生率が極めて低くなります。除菌のお薬をきちんと最後まで飲みきらないと、ピロリ菌が薬に対して抗体を持ってしまうので、お薬はきちんと用法を守って飲み続けて下さい。

    お薬を飲み続けることで、約9割の方がピロリ菌の除菌に成功します。7日間お薬を飲んでも除菌出来なかった場合は、お薬の種類を変えて再度除菌をするか、従来のお薬を飲み続けるかの選択になります。
  • その他薬物療法<その他薬物療法>
    症状により胃液の分泌を抑える薬や、胃の防御機能を高める薬、胃酸を中和する薬などを処方します。胃・十二指腸潰瘍は再発しやすいため、痛みが消えたり潰瘍が小さくなっても、お薬は勝手に止めないで担当医にご相談下さい。
  • 食事療法<食事療法>
    栄養が不足すると回復を遅らせますので、食事はバランス良く摂りましょう。昼休みに10分程度心身の休息をとるなどして、時間にゆとりを持って良くかんで食べましょう。1回に少量しか食べられない場合は食事の回数を増やすなどの工夫も必要です。また、食後20分以内の運動は消化に悪いので、食後も十分に休息をとりましょう。香辛料、コーヒー、アルコールなどの刺激物は避けて下さい。
  • その他の注意 <その他の注意>
    治療中は心身の安静が必要です。精神的・肉体的に無理をせず、睡眠や休息を十分に取って下さい。また、治療中の喫煙や飲酒は潰瘍の治りを遅らせたり、再発の原因となります。飲酒・喫煙は避けて下さい。