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水痘(水ぼうそう)とは
水痘は、ヘルペス科の水痘・帯状疱疹ウイルスに感染してかかる病気です。初めてこのウイルスに感染すると水痘を発症します。主に子供が感染する病気で、1~4歳頃に最も多く、幼児期~学童期にかけてかかります。一度ウイルスに感染すると、生涯にわたる免疫が形成されるので、再び水痘にかかることはほぼ有りません。
しかし、治ったあともウイルスは死滅せずに体の中に潜んでいます。過去に水痘を発症した場合、数十年後このウイルスが体力低下や病気など、体の免疫力が低下した時に再び活性化する事があります。これは水痘とは区別されており、帯状疱疹といわれる病気です。 -
水痘の症状
水痘や帯状疱疹を発症している人との接触、ウイルスを含有するくしゃみや咳などの飛沫により感染し、約2週間の潜伏の後、発熱を伴い背中やおなかに虫刺されのような赤い発疹が出来てきます。
約1日後にかゆみを伴う水疱に変化し、発疹・水疱は4~5日間増え続け、体や顔・髪の中・口の中まで広がります。水疱は2~3日すると乾燥して、かさぶたになります。かさぶたは2週間くらいでとれて痕が残りますが、半年くらいで痕は消えてしまいます。 -
感染への注意
症状が出る1日前から、かさぶたになるまでの約1週間は感染の可能性があります。ウイルスは感染力が強く、接触感染や飛沫感染によって他の人にうつります。水泡やかさぶたにはウイルスが含まれていますので、つぶしたり引っ掻いたりしないように注意しましょう。水痘は法定伝染病とされているので、原則として医師の許可が出るまでは、幼稚園や学校は休む必要があります。
大人になってから感染すると重症になる事が多いため、子供のうちにすませるのは良い事です。健康な子供に対してはあまり神経質になる必要はありませんが、健康状態が思わしくない子供や、まだ水痘にかかったことがない大人が周囲にいる場合には注意が必要です。また、家庭(兄弟間など)で感染した場合、後から感染した子供の方が症状がひどくなる場合があります。このような時にもどうぞ当院にご相談下さい。 -
水痘は軽い病気?
健康な子供にとって水痘は比較的軽い病気です。しかし、まれに肺炎やとびひ、脳炎、髄膜炎などの合併症を伴い、重症化する事があります。また、アトピー性皮膚炎などで皮膚が弱っている場合には、発疹が強く出る事があります。健康な子供の水痘では発症してすぐには重症化するかどうかの判断は出来ません。誰でもかかる病気と軽く考えないで、発症したらすぐ受診して下さい。 -
水痘の治療法
本来は自然に治る病気ですので、基本的には症状に合わせてお薬を処方するのみです。抗生物質・解熱剤・かゆみ止め等で治療します。しかし、これらの薬では原因となるウイルスは退治できませんが、最近ではウイルスに直接作用する薬もありますので、「水痘かな?」と思ったら早めに受診して下さい。薬を使用する際には必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。 -
水痘の予防
水痘の予防としてワクチン接種があります。特にアトピー性皮膚炎等で皮膚が弱っている場合には水痘にかかると重症になるので、ワクチン接種をお勧めします。ワクチンは副作用がほとんどなく、安全性の高いものです。1才から接種できますが、任意接種ですので費用は自費となります。 -
Q&A 感染した時
<かゆくて引っ掻いてしまった>
発疹を引っ掻いた傷が化膿してとびひになったり、痕が残る場合があります。子供はかゆみで引っ掻いてしまう場合がありますので、爪を短くしたり手袋を使用するなどの工夫をしましょう。また、かゆみを抑える薬もありますので、医師にご相談下さい。ウイルスのついた手で接触感染してしまう事があるので、手はよく洗って清潔にして下さい。 - <水疱が潰れてしまった>
水泡にはウイルスが含まれています。水疱が潰れてしまうと感染の原因となりますので、シーツ・枕カバー、下着・パジャマなどはこまめに変えて清潔に保ちましょう。洗濯は普通にして頂いて大丈夫ですが、もし気になるようでしたら、発症している人とは別にして洗うようにしましょう。 - <入浴はいいのですか?>
新しい水疱が増えていたり、熱がある間は控えて下さい。発症から1週間くらいして、ほとんどの水疱がかさぶたになれば、水疱を破らないよう気をつけて入浴してください。入浴後は、細菌が水疱内に入るのを防ぐ処置が必要なので医師に相談して下さい。 - <学校(幼稚園、保育園)へは、行けますか?>
全ての水疱がかさぶたになればもう人には移しませんので、学校や幼稚園、保育園などに行っていただいても大丈夫です。ウイルスの感染力は非常に強いので、病院で症状を確認し、医師の許可がでるまでは、子供が元気でも学校や幼稚園、保育園は原則として休ませて下さい。